給料が上がらない理由は民主主義にあった?22世紀の民主主義 書評

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塩レモンです。

今回は今話題の成田悠輔さんが書かれた22世紀の民主主義を書評します。

YouTubeなどでめちゃくちゃ斬新な発言をされている方で、僕がかなり興味のある方の1人です。

本書はそんな方が日本の政治や未来について述べる本となっています。

日本の政治や未来について危惧しているという方や、成田さんに興味を持っているという方におすすめできる本です。

民主主義の劣化

本書の冒頭で成田先生は、

ただの印象論ではない。今世紀に入ってからの20年強の経済を見ると、民主主義的な国ほど、経済成長が低迷しつづけている。

と述べています。

実際にデータでもそれが示されており、民主主義国が経済成長が低迷しているのが分かります。

その理由として、

なぜ民主国家は失敗するのか? ヒントはネットやSNSの浸透とともに進んだ民主主義の「劣化」である。劣化を象徴するヘイトスピーチやポピュリズム的政治言動、政治的イデオロギーの分断(二極化)などを見てみよう。すると、そうした民主主義の劣化が今世紀に入ってから世界的に進んでいること、そしてその劣化の加速度が特に速いのが民主国家であることがわかった。

と述べられています。

民主主義国家ほど成長スピードが遅くなっているというのは驚きますよね。

あと、SNSがそこまで強い力を持っているのにもびっくりです。

民主主義がダメなら中国のような独裁にすればいいのでは?

という疑問が湧きますが、歴史や今のロシアを見ても独裁者の暴走という爆弾を抱えている限り、独裁国家は危なそうです。

ではどうすれば、民主主義が抱える問題を解決できるのでしょうか?

解決策

成田先生はこの問題の解決策を3つに分けています。

その3つについて見ていきましょう。

闘争

1つ目は闘争です。

闘争についての定義は、

民主主義の現状と愚直に向き合い、その問題と闘って呪いを解こうとする営み

としています。

具体的には、今の政治家やメディア、選挙制度をいじってみるという解決策です。

その1例がネット選挙の導入ですね。

日本でも議論に上がることは多いですが、実際に導入している国では意外にも良い成果が出ていないそうです。

ネット投票というと若者の投票率が上がりそうなイメージだが、そう単純ではない。2005年からネット投票が実現しているエストニアでは、むしろ高齢者の投票率の方が上がったことが知られている。足腰が悪いなどの身体的な問題や交通の不便さのせいで投票に行けなかった人たちが、どこからでも投票できるようになったからだ。こう見ていくと、インターネット投票は若者の投票率低迷を打開する打ち出の小槌にはなりえないのかもしれない。

この他にも、政治家への成果型報酬、立候補の年齢制限などを提案しています。

どれも良さそうではありますが、今の日本を根本的に変えるというのは難しそうではあります。

逃走

2つ目は逃走です。

これは、

民主主義を内側から変えようとするのではなく、民主主義を見捨てて外部へと逃げ出してしまう

という解決策になります。

具体的に言うと、外国に住んだり、独立国家を作ってみてはどうかという提案です。

1例として、自治体を乗っ取るという方法を紹介しています。

現代でも、どこかの自治体に大量移住して住民の過半数を握れば、その自治体の選挙を支配できる。千代田区の区長選ですら最新の当選者(2021年)の得票数は9534票である。一万人を移住させられれば首都の重要区の区長選ですらジャックできる。一万人が選挙遊牧民として団結すれば、各地の首長選を順に乗っ取って最年少首長を大量に誕生させることさえできる。

このようなプチ独立国家を作ることで、民主主義から逃走し、自分たちが好きな政治家を選ぶというのもありかもしれません。

構築

3つ目が構築です。

今までの2つは、なんとなくイメージが湧きそうな解決策ですが、3つ目はなかなかに革命的というか成田先生ならではの解決策です。

成田先生は、

民主主義を瀕死に追いやった今日の世界環境を踏まえた民主主義の再発明

が現代に必要なのではないかと言っています。

具体的な方法についてかいつまんで説明していきます。

その方法とは一言で言えば、選挙や政治家を無くすということです。

現代の選挙の欠陥は色々あります。

その一つが、自分と全く同じ考えを持った政党や政治家など存在しないということです。

皆さんは選挙するときにどういう基準で投票する政治家や政党を選んでいますか?

大体の人は

この政策が良さそうだから、この政党かな〜

この人印象良さそうだし、入れてみよ〜

みたいなノリで入れてはないでしょうか?

完全にこの政党の考え方と自分の考え方が一致している!

という人はかなりレアというかほぼいない思います。

いやいや、それが選挙でしょ笑

とほとんどの人は受け入れていますが、もっと良い方法がありそうじゃないですか?

その方法の1つが民意データを吸い上げて政策に反映させるというアルゴリズムの構築です。

これを本書では無意識民主主義と呼んでいます。

例えば、日々私たちが会話している内容や、スマホで調べている内容などのデータを取ります。

そのデータを元に政策的意思決定を選んでいきます。

ちょっと説明しづらいんですが、簡単に言えばデータを取ってそれを元に政策を決めていくって感じです!

もちろん問題は山積みですが、かなり面白い発想ではあると思いました。

感想

全体を通して、一般の読者でも分かりやすく書かれており、エンターテインメントとしても教養としてもぴったりな一冊でした。

僕自身はもともと政治にはあまり興味がなく、選挙もほとんど行ったことがないような人間なのですが、少し興味が湧きました。

あとは、政治と言うと難しくて堅苦しいイメージがありますが、成田先生のようにもっとポップに考えて、若者も参加しやすくなっていけば少しは日本も良くなるのかもな~と思ったり。

最後に述べた無意識民主主義については、特に日本での実現はまだまだ難しいとは思いますし、僕はこの考え方はどうなのかな~と少し思いました(面白いとは思いますが)。

意外と30年後とかに無意識民主主義が当たり前になっていて、猫が政治家をやっているかもしれませんけどね。

今回は以上です!また次回!

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