男女の違いはなぜ起こるか『進化心理学から考えるホモサピエンス』

書評

今回は進化心理学の本です。この本は本当に面白くて、僕の愛読書の1つです。

ということで、早速いきましょう!

 進化心理学とは?

進化, 徒歩, チャールズ ・ ダーウィン, 科学, 男, 生物学, 学習

今日は『進化心理学から考えるホモサピエンス』をご紹介します。

まずは、

進化心理学って何?

というところから説明していこうと思います。

進化心理学とはかなりざっくり言うと、「人間の本性」を研究する学問です。一般的に本性の定義は曖昧ですが、進化心理学では本性とは「進化によって形成された独自の性質」のことを言います。

進化心理学は他の学問に比べると比較的新しく、その視点は、人間の趣向や価値観、感情、認知、行動に関する生物学的、進化的影響を理解する上で、今のところ行動遺伝学の視点と並んで、最も有効であると思われています。

個人的には、「人間の進化の歴史から人の心理を読み解く学問」と解釈すると分かりやすいかも

とまあ学問的にはちょっと難しく感じますが、本書は一般読者向けに書かれていますので、進化心理学の入門書としては最適だと思います。

僕も進化心理学は初めて勉強したのですが、かなり読みやすかったですね。

子供が読むのには少し刺激が強いかもしれないですが、大人の皆さんは興味を惹かれる内容なんで、勉強としてだけでなくエンターテインメントとしても楽しめると思います。

男はなぜ髪の長い女性に惹かれるのか?

前提として、男は若くて肉体的に魅力的な女性を好みます。この傾向は日常生活においても実感できると思います。

例えば、教師が女子高生に手を出した事件とか、年の差カップルはほぼ例外なく男の年齢が上であったりとかですね。

では、なぜ若い美女を好むのか。それは繁殖価が高く、多産で、繁殖成功度が高いからです。

つまり、若い美女は子供を産みやすいので、自分の遺伝子が残りやすくなるというメリットがあるわけです。

進化心理学では、人間は自分の遺伝子を残すという使命を持って生まれてくると考えます。よって、若い美女を選ぶことは非常に合理的な選択なのです。

要するに男はみんなロリコンで、それは自然なことってわけだ

では、男はどうやって若い美女を見分けるのか。一つの着眼点として髪の長さがあります。

男性の皆さんなら分かると思いますが、長い髪の女性って魅力的ですよね。

なぜ魅力的かって言うと、髪が若さのバロメーターになるからです。

試しに女性の後ろから髪の毛を見て、年齢を予測してから前から顔を確認してみてください(不審者と間違われても責任は取りません笑)。ほぼ予測は的中すると思います。

これは特に長い髪の女性の方が分かりやすいです。よって長い髪の女性は若さの証明となるわけですね。

なんとなく長い髪が好きだなーという男性は多いですが、理由まで分かるとなるほど!と納得しますよね。

一夫一妻制は存在しない?

man with three women in the bed

現代の欧米社会(日本もですね)では、ほとんどが建前では一夫一妻制ということになっています。

しかし、これはあくまで建前で、離婚すれば理論上は何回でも別の女性を妻にすることができますし、バレないように不倫するという人もいます。これは事実上の一夫多妻制だと言えます。

人間が一夫多妻制を本能的に求める証拠として以下のようなことが述べられています。

実は、祖先が一夫多妻だったことを示す痕跡は私たちの体にしっかりと刻まれているのだ。霊長類に限らず動物の一夫多妻の度合いと、体の大きさの性差(雄が雌よりどのくらい大きいか)には明らかな関連性がある。

一夫多妻であればあるほど、雄と雌の体の大きさが違ってくる。たとえば、完壁に単婚であるテナガザルは、雄も雌も身長、体重ともにあまり変わらない。極端な一夫多妻であるゴリラは、身長では雄が雌の1.3倍、体重は2倍もある。人間はその中間だが、ややテナガザルのほうに近く、平均して男性の身長は女性の1.1倍、体重は1.2倍である。

つまり進化の歴史で、人間はゴリラほど極端な一夫多妻ではなかったが、テナガザルのような徹底した一夫一妻でもなく、マイルドな一夫多妻だったということだ。

体格差がなぜ一夫多妻に関連するのかという疑問については2つの説があるのですが、詳しくは本書をご覧ください。

不倫や浮気がしょっちゅう起こるのは本能的なものだったんだな

子供の性別に影響を与えるものは?

突然ですが、男の子と女の子が生まれてくる確率ってどちらが高いと思いますか?

え?同じじゃないの?

と思っている人が多いんですが、実は違うんです。本書では、

出生性比(新生児の男女比率)は0.5122。言い換えれば、女児100人に対し、男児は105人生まれる。しかし、この割合は状況によって、家族によって多少変わってくる。

と述べています。

これは知らなかった方が多いのではないでしょうか。僕も知りませんでした。

生まれながらにして、男は女を巡って争う運命にあるのです。

また、出生性比は環境や親の性質によって変わってきます

例として、高い地位にある裕福な親には息子が多く生まれるというものがあります。その理由として、

一般的に子供は親の富と社会的地位を受け継ぐ。裕福な家庭の息子は裕福になり、進化の歴史のほとんどを通じて、多くの妻や愛人をもつことができ、何十人、さらには何百人もの子供をもうけてきた。彼らの姉妹は裕福だが、それほど多くの子供をもてない。したがって、裕福な親は娘よりも息子に賭けることになる。

逆に貧しい息子たちは女から相手にされず、繁殖ゲームから完全に締めだされる。だが、彼らの姉妹は、若くて美しければ、貧乏でも子供を残せる(第2章で述べたように、適応度の上限値は男のほうが女よりはるかに高いが、下限値は女のほうがはるかに高い)。

そのため、経済状況によって出生性比にバイアスがかかるような淘汰圧が働き、裕福なら男の子、貧しいなら女の子が多く生まれるようになる

というように進化心理学では考えているようです。

親によって子供の性別が変わるなんて思いもしませんでした。

ビル・ゲイツと犯罪者の共通点

犯罪学の分野で、「年齢=犯罪曲線」というものがあります。これは、年齢と犯罪の関係を曲線で表せるという理論です。この理論によると、 

どんな時代のどんな社会でも、階層、人種、性別にかかわりなく、犯罪やそれに準ずる危険な行動に走る確率は、思春期の前半に上昇しはじめ、思春期の後半から成人初期にかけてピークに達し、20代から30代にかけて急減し、中年で一定になる。

この「年齢=犯罪曲線」と同じパターンを示すのが「年齢=才能曲線」とも言うべきものです。男性の画家、作家、ミュージシャン、科学者などの生産性(才能の発揮)が成人初期にピークに達し、その後急速に衰えるという「年齢=犯罪曲線」と同じパターンが見られたのです。

よって、ビル・ゲイツやポール・マッカートニーの才能の発揮と犯罪には共通点があると言えます。では、その共通点とは何か。

進化心理学では、犯罪と才能の発揮はどちらもライバルに勝とうとする若い男の欲求のあらわれであると推測します。

つまり、犯罪者はモテたいから犯罪をするし、天才はモテたいから才能を発揮するというわけですね。

確かに、中学生のとき、勉強も運動もできない人は不良ぶるっていう傾向がありましたね。それとは少し違うのかな?笑

男のモテたい欲は凄まじい!

自爆テロはなぜ起こる?

進化心理学の視点から見ると、自爆テロもセックスと大いに関係していると本書では述べています。

どういうことか。

自爆テロを起こすのは例外なくイスラム教徒の若い男性です。それがなぜかということを考えると答えが見えてきます。

1つ目の理由が、イスラム教はキリスト教やユダヤ教などの他宗教とは違い、一夫多妻制を認めているという点です。一部の男性が女性を独占し、多くの男性が繁殖上は完全な負け犬として人生を終えることとなります(これは男として悲しいですね)。よって、地位の低い男や経済的に貧しい男は絶望的になり、暴力的な手段に走りやすくなります。

もう1つの理由はイスラム教の教典であるコーランに書かれている約束です。それは、殉教者は天国で72人の処女妻に迎えられるというものです。これは、地上で繁殖機会を奪われた若いイスラム教徒にとって、自爆テロに走る強い動機づけとなります。

若い男の性欲はとんでもないですから分かる気もしますね。しかし、コーランにそんなことが書かれているとは驚きましたね。

ちょっとコーラン読みたくなった

さいごに

音楽, コンサート, 猿, ギター, ステージ, アンプ, 電気のギター, 動物

進化心理学の入門書として最適かつ、進化心理学の面白さを存分に伝えてくれる一冊でした。

心理学には色んな分野があって全部勉強するのは途方もない道のりですが、やはり色々勉強すると確実に視野が広がりますね。もっと勉強しなくちゃなーと改めて思いました。

進化心理学についてはかなり気に入ったので、もっと詳しく勉強したいです。

では、今日はこのへんで!

コメント

タイトルとURLをコピーしました