内向的な人の隠れた力とは?『内向型人間の時代』書評

書評

今日は以前の記事でも紹介した本です。僕にとってかなり衝撃の本だったので、皆さんにもぜひ読んでいただきたいです!

以前紹介した記事はこちら↓

大学生に読んで欲しい!人生を変えるビジネス書まとめ
塩レモンです。今日は僕が、大学生のときに読んでおいて良かった!と思ったおすすめの本を10冊紹介していきたいと思います。もちろん大学生だけではなく、高校生や社会人の方が読んでもためになると思います。...

 文庫版↓

どんな本?

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今日はスーザン・ケイン著『内向型人間の時代』を紹介します。

物静かで、人とワイワイするのが苦手で、できればずっと1人でいたい、という人を本書では「内向型」と呼んでいます。

簡単に言えば陰キャっぽい人だな

もちろん程度の差はあるんで、極端に内向型な人もいれば、どちらかと言えば内向型かな?という人います。

本書はそんな「内向型に分類される人たちがどれだけ秘めた力を持っているのか」そして「どうやったらその秘めた力を有効に使えるのか」を解説しています。

人付き合いが苦手…

というかたや、

自分はどちらかというと内向型だな〜

というかたには特におすすめしたい書籍です。アジア人は内向型が多いとされているので、当てはまるかたが多いと思います。

僕自身自他共に認める内向型で、本書を読むまではこの性格がコンプレックスでした。

もっと人付き合いが上手だったらなあ~

と何度思ったことか分かりません。

しかし、本書を読んでからこの性格を受け入れることができましたし、今では内向型であることの強みを色々なことに生かしています。

外交型がなぜ好まれるのか

そもそもなぜ世間では外交型の人間が好まれているのでしょうか。本書では、その起源はセールスマンの登場にあると言います。

20世紀のアメリカにデール・カーネギー(聞いたことがある人は多いと思います)というセールスマンがいました。社交的で弁論術に長けている彼は、説得力という能力で成功を収めました。

そして彼は弁論術の講座を開き、そこで、ビジネスには弁論術が欠かせないと解き、どんどん社交的な人が好まれるような世界になっていったのです。

つまり、昔から外向型が好まれていたわけではなかったんだな。

そして外向型が好まれる風潮は、子育てにも影響を及ぼすようになります。

20世紀半ばの善意の親たちは、沈黙は許されないものであり、男の子にとっても女の子にとっても社交的であることが理想なのだと考えた。クラシック音楽のような地味で孤独になりがちな趣味は人気者になれないから好ましくないと、子供に指導する親もいた。

親は社交性を身につけさせるのをおもな目的として、子供が小さいうちから教育の場へ送りだすようになった。内向的な子供は問題があるとみなされるようになった。

まあ親の気持ちもわからんでもないですよね。社交的ってだけで、クラスの人気者になれますから。それがいいかは別問題ですが。

性格は遺伝子で決まる?

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ここで問題となってくるのが性格は後天的に変えられるのか、それとも遺伝子によって決まっているのかという問題です。後天的に外向型になれるなら、僕たち内向型にとっては朗報ですよね。

この問題を説明するために、ケーガンらが生後4ヶ月の赤ん坊500人に対して行ったある研究を紹介します。

ケーガンらは、生後4ヶ月の赤ん坊に慎重に選んだいくつかの新しい体験をさせた。録音した声を聞かせたり、色鮮やかなモビールを見せたり、先端をアルコールに浸した綿棒を嗅がせたりしたのだ。それらの未知の体験に対して、赤ん坊たちはそれぞれに反応した。

全体の約20%は元気よく泣いて、手足をばたつかせた。ケーガンはこのグループを「高反応」と呼んだ。約40%は静かで落ち着いたままで、時々手足を動かすものの、さほど大きな動きではなかった。ケーガンはこのグループを「低反応」と呼んだ。残りの約40%は「高反応」と「低反応」との中間だった。

ケーガンは物静かな10代に成長するのは「高反応」グループの赤ん坊だと予測した。

 ケーガンの予想は当たっていました。高反応の子供は内向型に、低反応の子供は外向型になる傾向が見られたのです。

なぜ高反応の子供は内向型になるのか。

簡単に言うと、高反応の子供は外部の刺激に反応しやすいため、警戒心が強くなったり、他人の感情に敏感になりやすかったりするのです。一方低反応の子供は、外部の刺激に鈍感なため、大胆に振る舞えるというわけですね。

簡単に言うと、鈍感な人は外向型になりやすく、敏感な人は内向型になりやすいってことだ

この結果から、残念ながら性格は遺伝である程度は決まっているということが推測できます。

内向型は外交型になれる?

内向型か外交型かは遺伝子が影響しているという例を見ました。

では、内向型の人間は外交的に振る舞うのは不可能なのでしょうか?

どうしても外向型になりたい!

という方のために解説します。

パーソナリティ心理学を専門にしているブライアン・リトル教授によると、「内向型でも外交的に振る舞える時がある」と言います。

それはなぜなのか?リトル教授によると、

その理由は簡単だと彼は言う。そして、それは「自由特性理論」と呼ばれる、彼がほぼ独力で築いた心理学の新理論と関連している。固定した特性と自由な特性は混在すると、リトルは信じている。

自由特性理論によれば、私たちは特定の性格特性を持って生まれるが(たとえば内向性だ)自分にとって非常に重要な事柄、すなわち「コア・パーソナル・プロジェクト」に従事するとき、その特性の枠を超えてふるまえるのであり、実際にふるまっているのだ。

つまり、内向型の人は、自分が重要視する仕事や、愛情を感じている人々、高く評価している事物のためならば、外向型のようにふるまえる。

内向型の夫が愛する外向型の妻のためにサプライズパーティを仕掛けたり、娘の学校でPTAの役員になったりするのは、自由特性理論で説明がつく。外向型の科学者が研究室でおとなしくしているのも、物わかりのいい人物がビジネス上の交渉では頑固になるのも、つむじ曲がりの叔父さんが妊にはやさしくアイスクリームを買ってやるのも、すべて説明できる。

自由特性理論はさまざまな状況で適用できるものの、とくに外向型を理想とする社会で生きている内向型にぴたりとあてはまる。

自分のコア・パーソナル・プロジェクトを見つければ性格さえも超えられる。すごく夢がある理論ですよね。

でも言われてみると、僕自身常に内向型の特性を発揮しているわけではなく、状況によって外交的になれるときもありました。このことから、性格が全て遺伝子で決まるというわけではないと個人的にも思っています。

偽外交型に振る舞うことの弊害

コア・パーソナル・プロジェクトのためであっても、この性格を超えることを長くは続けられません。内向型の人は長時間外交的な場にいるのはどうしても疲れてしまうんですね。

これを解決する策として、リトル教授は「回復の場所」をできるだけたくさん作っておくことを提案しています。

「回復の場所」とは本当の自己に戻りたいときに行く場所のことです。

例えば、リトル教授は人前でスピーチや講演をした後は、トイレの個室にこもるといいます。

この「回復の場所」を見つけておかないと精神的にも肉体的にも消耗し、最悪の場合病気になる危険性すらあるそうです。

うーん、気をつけたいですね。

多少なら性格に合わないことをしてもいいが、無理は禁物だ!

内向型はスイートスポットを探せ!

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まずはスイートスポットの説明を引用させていただきます。

高反応に関するケーガンの発見にこれらの研究を組み合わせてみると、性格に対する理解がいっそう明快になる。内向性と外向性はそれぞれ特定のレベルの刺激を好むのだと理解すれば、自分の性格が好むレベルに自分自身を置くようにすることができる。

つまり、自分にとって覚醒の活性が高すぎすぎもしない、退屈も不安も感じない状況に。心理学者が言うところの「最適な覚醒レベル」(私はこれを「スイートスポット」と呼んでいる)を知っていれば、今よりもっとエネルギッシュで生き生きとした人生が送れる。

 要は、スイートスポットとは自分が一番集中できる場所のことで、内向型は外部の刺激がないところ(家や図書館など)が、外向型は外部の刺激がある程度あるところ(ちょっと騒々しいカフェなど)がスイートスポットに適しているということですね。

僕はこれを知ってから本を読むときは、できるだけ図書館に行き、うるさいところではノイズキャンセリングイヤホンを使うようにしています。集中度合いが体感でわかるくらい違うので試してみてください!

自分のスイートスポットを見つけよう!

内向型と外交型は合わない?

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内向型と外交型の2つのタイプは友人関係でもビジネスでも、そしてロマンスでも互いに惹かれ合うことが多いと言います。

内向型だけでも場が盛り上がらないし、外交型だけでは表面的な付き合いばかりになってしまうんですね。

しかし、この両極端な性格ゆえにぶつかってしまうことも多々あるそうです。

これを防ぐには、相手の性格を深く理解し、話し合い、解決策を考えるということが重要です。

互いの性格を尊重しよう!

最後に

終章から著者の結論部分を引用します。

愛情は必要不可欠だが、社交性はそうとはかぎらない。もっとも身近にいる大切な人々を慈しもう。あなたが好意を持ち、尊敬する人々と働こう。

誰かと新しく出会ったら、相手がそういう人かどうか、一緒にいて楽しい人かどうかを見極めよう。そして、そうでないとわかったら表面的なつきあいにあれこれ気を配る必要はない。

人づきあいは内向型も含めてみんなを幸福にするけれど、内向型は量よりも質を大切にする。

内向型の人は無理に表面的な人付き合いをする必要はないってことですね。めちゃくちゃ響きました。

僕は本書を読んだとき目から鱗でした。自分が内向型だということはなんとなく分かっていたけど、内向型の本質については全然分かっていなかったんだと思いました。

日本は比較的内向型にも寛容な文化ですが、それでも外交型に憧れを抱く人は少なくないと思います。もちろん外交型にも強みはありますが、内向型にも大きな強みがあるということを教えてくれる素晴らしい本でした。

今回は以上です。では、また明日!

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