『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』書評

書評

塩レモンです。

今日は書評です。

タイトルに惹かれKindleで購入したのですが、かなり面白かったです。

若者として得られる知見がたくさんあったので、一部を紹介していこうと思います。

今の若者は目立つことを極端に避ける

著者は

今の若者は目立つことを極端に避けている!

と主張しています。

この主張の根拠となる例がいくつか載っていましたので、その1つを紹介します。

著者は、学生たちにどんな講義が嫌いかを答えてもらうアンケートを独自に行っています。

その結果、「当てられる」が嫌いな講義第1位となっていました。ちなみに、2位は「内容が難しすぎる(半数が不可になる)」、3位は「成績上位者が公開される」でした。

個人的には当てられる授業はそこまで嫌いではないですが、大学で授業を受けていた身としては納得できる結果でした。

この他の例からも、若者が目立つことを避ける傾向にあるのは間違いなさそうです。

就活での若者

1年ほど前に就活を終えた僕にとってタイムリーな話題だったのが、最近の若者の就活事情という項目でした。

会社選択において、最近の若者はどんな傾向を示しているのでしょうか?

それを示す例を2つ挙げたいと思います。

2021年の時点で、大学生にとってあこがれの職業、それも公務員だ。やはり国家公務員ではなく、地方公務員。第1希望は政令指定都市の市役所。都市部に住めるし、何より田舎への転勤がない。第2希望は、条件がほとんど同じだが僻地への転勤がありうる都道府県庁。いずれ家族を持ち、郊外に家を建てたいが、もちろん目立つような家にはしない。むしろ、手ごろな値段でコンパクトなのがいい。

1つ目の例は公務員が人気というデータです。

僕の周りも公務員志望の人は多かったですね。

マイナビが発表した「2022年卒大学生就職意識調査」の結果である。これによると、就職活動で学生が企業選択する際のポイントは、「安定している会社」が42・8%でトップだ。

2つ目のデータは企業選択で重視するのは「安定」がトップと言うデータです。

これも言われてみると納得のデータです。

僕の周りでもとりあえず安定してる大企業を目指している人はかなり多かったですし、何を隠そう僕もそうでした笑

どちらのデータでも共通しているのが、そこそこでいたいという若者の心理です。

ベンチャー企業に入ってバリバリ仕事してお金を稼ぎたい!

という人はかなり少数派で、

公務員や大企業で目立つことなくのんびり暮らしたい

という人が大多数なわけです。

日本人の気質に原因がある?

さて、このように目立つことを極端に避ける若者が増えてしまった背景には何があるのでしょうか。

著者は

日本人の気質に原因がある

と言います。

それを示す例として、日本人が世界で最も他人を助けないというデータがあります。

WorldGivingIndex(WGI)という国際的な調査で、日本人は、「見知らぬ人を助けたか」という問いに対し、世界で最も「はい」と答えた割合が最も低かったのです。125カ国中125位です。

この結果の原因として、著者は日本人の同調性の異常な高さを挙げています。

著者の言葉を引用します。

ここまで、現在の若者たちをいい子症候群と称して、彼らの横並び主義や意思のなさを見てきたが、何のことはない、それは昔から日本全体がそうだったという話だ。

若者に蔓延する良い子症候群は、日本人特有の横並び主義や同調性の高さが悪い方向に行った結果だったわけです。

わたしたち若者はどうすべきか

これを読んでくださっている方は、比較的若者が多いのではないかと勝手ながら思っています。

そこでさいごに、わたしたち若者が良い子症候群を抜け出すにはどうすればいいのかについて考えてみます。

本書にはこんなことが書かれていました。

いい子症候群を増殖する空気を広く蔓延させているのは、実は若者であるあなた自身だ。

~中略~

確かに誰かの発言を笑う人はいる。ではあなたは、その笑いに続いたことはないと言えるか。ほんの少しの笑いの連鎖が、笑われた側の人生を生涯にわたって支配し得る。

この文を読んだときドキッとしました

僕自身の話ですが、小学生までは授業中に発言することや目立つことにためらいはなかったのに、中学生くらいから目立つことを極端に避けるようになりました。

「発言するな」「目立つな」とは誰にも言われていないのに、なんとなく同調を求める空気が学校の教室にはあったような気がします。

そして、僕自身もその空気を無意識的に出していたのだと本書を読んで気づきました。

私達日本人は、この無意識に出してしまう同調を求める空気を出さないように努力し、できる範囲で少しずつ自分の意見を集団の中でも言っていくことが大切なのではないでしょうか。

ちなみに、これは専門用語で心理的安全性と言われます。

この状態を会社でも学校でも作っていき、日本がより良くなる未来が見たいですね。

今回はこのへんで終わります!また次回!

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