塩レモンです。
今回も書評やってきます。
本書は選択に関する科学的な研究や知見を、選択を研究テーマとしている著者がまとめたものとなっています。
人間が選択をするときにどんな基準でそれが行われるのか、そしてどんな選択が利益をもたらすのか、などが科学的に論じられています。
優柔不断な人や、いつも選択をしてから後悔するという方はもちろん、どんな方にも選択という機会は訪れると思うので、少しでも興味があればぜひ読むことをおすすめします。
それでは、解説していきます。
社長が長生きする理由
本書には面白い研究がいくつも紹介されていますが、今回はその中でも3つの研究に注目して解説していきます。
本書の面白さが少しでも伝われば幸いです。
1つ目の研究は社長は長生きするという研究です。
本書で紹介されている公務員男性1万人を調査した研究によると、収入の高い仕事ほどプレッシャーが大きいにも関わらず、冠状動脈性心臓病で死亡する確率は、最も低い職業階層の公務員が、最も高い職業階層の公務員より3倍も高かったのです。
つまり、役職の高い人のほうが病気のリスクが低いという結果になった訳です。
このような結果が出た理由は、仕事の裁量権の違いにあると述べられています。
裁量の度合いが小さいほど仕事中に慢性的にストレスを受け、血圧が高い状態にあり、それが原因となり、病気のリスクが高まったのです。
僕含め多くの人は、職業階層としては下の方にいると思いますので怖い話ですよね。
俺たちに希望はないのか…
と絶望的な気分になりますが、実はそうでもないようです。
著者曰く、この研究で人々の健康に最も影響を与えたのは、人々が実際に持っていた自己決定権の大きさではなく、その認識にあったらしいのです。
つまり、実際には自己裁量の度合いが小さい人でも、「自分の仕事は自分で決めている」という認識を持てば、健康リスクを抑えられるのです。
ものごとの見方を変えるだけですので、明日から実践できそうですね。
恋愛結婚は本当に幸せなのか?
現代では、日本を含め世界の多くの国々は恋愛結婚が当たり前となっています。
しかし、恋愛結婚が当たり前になったのは人類の歴史から見ればごく最近の話なのです。
昔は取り決め婚という集団の利益のための結婚が当たり前でした。
例えば、親の意向で結婚相手が決まるというのが普通に行われていたわけです。
現代人の僕たちからすると、
親に結婚相手決められるとか最悪。現代に生まれて良かったー!
という方もいると思います。
しかし、本当に取り決め婚は不幸なのでしょうか?
その疑問を調べた研究が本書に載っていました。
インドのラージャスターン大学の研究によると、恋愛結婚の夫婦は初期は満足度が高いものの、年数が経つにつれて満足度が下がるという結果になりました。一方、取り決め婚の夫婦は初期は満足度が低いものの、年数が経つにつれて満足度が上がったのです。
この研究から導かれるのは、取り決め婚が不幸を生むというのは間違いだということです。
人は自分の決断によって人生をコントロールしたいと願いますが、必ずしもそれがいい結果になるとは限らないということですね。
豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
3つ目に紹介するのは豊富な選択肢は必ずしも利益にはならないという研究です。
皆さんは、選択をするとき選択肢はできるだけ多いほうがいいと思いますか?
そりゃあそうよ!
と多くの方が言うと思いますが実際は少ないほうがいい場合があるのです。
有名なジャムの実験を紹介します。
この実験は本書の著者であるシーナ・アイエンガーさんが行った実験です。
試食コーナーに24種類のジャムを置いた場合と、6種類のジャムを置いた場合で、売上にどのような影響が出るか調べました。結果は6種類のジャムを置いた場合の方が6倍以上も多くの人が、ジャムを購入したのです。
この実験から示唆されるのは、多すぎる選択肢は選ぶ人を混乱させ、結果的に保留という結論を生み出してしまうという危険性があるということです。
ビジネスや日常生活で選択肢を提示するようなときは、このジャムの実験を思い出すといいかもしれませんね。
さいごに
僕は心理学系の本をよく読みますので、本書で紹介されている研究には知っている研究も多くありました。
ただ、また新たな視点で見ることができましたし、復習にもなったので結果的には読んで大正解でした。
僕のように少し心理学にかじっている方も、全く心理学に触れてこなかったという方も楽しめる内容がまだまだ紹介されているので、ぜひ手に取ってみてください。
では今回は終わります!
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