塩レモンです。
今日はちょっと前に話題になった本を書評します。
格差社会についての本なんで、結構議論を生む本だと思います。
ただ、こういう本が増えて日本人が積極的に議論をしていくとより良い社会になってくるのではないかな、と個人的には思います。
遺伝ガチャで人生が決まるのか?
本書ではメリトクラシーという言葉が頻繁に出てきます。
メリトクラシーとは、個人の持っている能力によってその地位が決まり、能力の高い者が統治する社会を指します。日本語では「能力主義」と訳されます。
現代はメリトクラシーの社会と言えるでしょう。
例えば、大卒の生涯年収は高卒の生涯年収よりも、平均して30%高いというデータがそれを顕著に示しています。
少し前に「親ガチャ」という言葉が流行りましたが、本書ではそれに似た「遺伝ガチャ」という言葉が出てきます。これは、遺伝によって優秀なのか無能なのかが決まるのではないか、という考え方です。
遺伝で能力が決まってしまうのであれば、努力はほとんど意味を為さないことになり、優秀な人はいいですが、無能な人はかなりショックですよね。
実際、科学的には
遺伝で能力が決まるのか?
という問題に答えは出ています。
本書の113ページの図表に答えがあります。流石に図は載せられないので、概略を述べます。
図表は集中力や人間関係スキル、依存のしやすさがどれぐらい遺伝によって決まるのかを調べたデータです。
例えば、集中力の遺伝率は44%です。これは遺伝によってその人の能力が約半分決まることを示しています。
その他に主要なところを挙げると、学歴は50%、感情の不安定性は35%、アルコール依存は44%、繰り返す抑うつ障害は52%、広範囲の発達障害は70%の遺伝率となっています。
ちなみに遺伝以外の部分は、友人などの人間関係によるものが大きいです。
この結果を見て言えるのは、
人生は遺伝である程度決まるが、変えられる部分もある!
ということです。
著者はこのような現実を受け入れた上でよりよい社会を構築する、「進化論的リベラル」が求められていると述べています。
貧乏な男はモテない
次に著者が突きつけるのは
貧乏な男はモテない!
という現実です。
まあ皆さんも薄々気づいているかもしれませんが、貧乏な男はモテません。
これにはしっかりとしたデータがあります。
全国1万2000人を調査した「2015年社会階層とライフコース全国調査」によると、20代の年収200万未満では、彼女がほしいと思っている男の55.2%しか交際経験がありません。一方年収600万以上では、100%の男が交際経験があります。
これ以外にも色んなデータがありますが、省きます。
著者は、
これはリベラル化が進むことによる弊害だ
と述べています。どういうことか。
リベラル化によって、自分らしく生きることが推奨されることで、女性の社会進出を進め、女性への差別を撤廃する動きが加速しています。
これだけ聞くと素晴らしいのですが、自立した女性が自由に男を選り好みできるようになったことで、低所得の男は苦境に追い込まれました。
こうしてリベラル化は貧乏な男はモテないというデータに結びつきます。
モテない男性が増えていったことが原因で、秋葉原の無差別殺人事件や、アメリカの銃乱射事件が起きたと著者は述べています。
とは言ってもリベラル化の流れは止められないので、低所得の男を救う手立ては今のところないのが現状です。
絶望の未来に救いはあるのか
上に述べた2つに加えて今の若者を絶望させているのが、超高齢社会です。
本書の冒頭には「苦しまずに自殺する権利」を求める若者たちの意見が載せられています。
このような若者の意見を読み、リベラル化や超高齢社会という絶望の未来を見ていくと、
何か救いはないのか?
という気持ちになります。
しかし、本書にはそれらしい解決策は提示していませんでした。
これは「あえて」なのかもしれませんし、そんなものはないのかもしれません。
僕個人の意見としては、載せなかったのは
日本の未来についてもっと議論していこうよ!
という著者からのメッセージなのかなと思いました。
そろそろ長くなってきたので終わります。また次回!
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