今日は下巻の紹介です。
上巻についての記事はこちら↓
ノーベル賞のきっかけになった「プロスペクト理論」とは?
カーネマンが提唱する「プロスペクト理論」はノーベル賞のきっかけとなった理論でもあります。
ノーベル賞ってすげえよな
様々なところで引用されているので、知っているかたもいるかもしれないですね。
「プロスペクト理論」の核となる部分は「損失回避性」です。
「損失回避性」とは、人間は利得よりも損失の方が感応度が高くなるという理論です。
例えば、1万円貰える喜びと1万円失う悲しみでは、1万円失う悲しみの方が与えるインパクトが大きいということです。
要は財布無くしたときの絶望は半端ないってことだ
この損失回避という理論を理解できれば、ビジネスやプライベートでも、自分や他人がどれだけ損失回避に囚われているかが分かります。
例えば、論理的に考えれば絶対に得するという取引を損失回避のバイアスによってふいにしてしまう、損失が怖くて物が捨てられない、など。
「プロスペクト理論」は厳密に言うとこれだけではないのですが、まあ詳しいことを知りたいかたは本書を見てください笑
私たちは「フレーミング」で操られている
次に紹介するのは「フレーミング効果」と呼ばれる理論です。
これは、言い方や表現の仕方を変えるだけで、同じことを言っているのに、感じ方を変えさせることができるというものです。
どういうこと?
という方のために、ハーバードメディカルスクールで行われた、面白い実験を紹介します。
参加者は医師で、肺ガンの二つの治療法すなわち手術と放射線治療のデータを見せて、どちらを選ぶかを訊ねた。
五年後の生存率は手術のほうが明らかに高いが、短期的には手術のほうが放射線治療より危険である。
被験者を二つのグループに分け、片方には生存率に関するデータを、残り半分には同じことを死亡率で表現したデータを見せた。
手術の短期的な結果に関する記述は、次のとおりである。
術後一カ月の生存率は90%です。
術後一カ月の死亡率は10%です。
結果はもうおわかりだろう。手術を選んだ人は、最初のフレーム(被験者の84%)のほうが後のフレーム(50%)より圧倒的に多かった。
二つの文章が論理的に等価であることははっきりしているのだから、客観的事実に基づく意思決定者ならば、どう記述されていようと同じ選択をするはずである。
これがフレーミングです。
言い方一つで結果が変わるという経験をしたことがある人は納得なのではないでしょうか。
終わり良ければ全てよし「ピークエンドの法則」
最後に「ピークエンドの法則」を紹介して終わりにしましょう。
これは経験の良し悪しは持続時間ではなく、ピーク(最高潮)とエンド(終わり)の平均で決まるという理論です。
これを確かめた実験が冷水実験です。
かなりざっくりと説明します。
被験者には2回冷水に手をつけてもらいます。
ただし、それぞれ条件を少し変えます。
- 1回目は60秒間冷水に手をつけてもらう
- 2回目は90秒間冷水に手をつけてもらうが、最後の30秒間は少し水が温かくなる
これで、もう一回やるならどちらがマシですか?と被験者に質問をするという実験です。
普通に考えると長い間苦痛がある方が嫌だと思いがちですが、結果は違いました。
被験者の80%が2回目の方がマシだと答えたのです。
意外な結果だよな
この理論は様々なところに応用が効きます。
例えば、初デートで相手に良い印象を持ってもらいたい時は、デートの最後に何かサプライズをします。
これでピークエンド効果が働き、このあとうまくいく可能性が高まります。
(まあサプライズが成功すればですが)
本書で紹介されているバイアスや理論にはもっと面白いものがたくさんあります!
アカデミックな本が好きだというかたや、少し興味があるかたはぜひ読んでみてください!
では、また明日!
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